暑い日が続いています。熱中症で救急搬送された患者が、今日は○人出たなどと、毎日のようにニュースでは報じられています。先日、室内で夜間、エアコン稼働中にもかかわらず、熱中症が疑われる症状に見舞われました。今後同じような状況に陥った時に、どうすることが正解なのか、自分の反省のためにも整理しておこうと思いました。
「重症度」は三段階。程度によって正しい応急処置を
今日まとめるのは、熱中症に「なってしまった！」時の処置についてです。熱中症に「ならない」ための予防措置については、後日別記したいと思います。
- Ⅰ度：軽症。現場での応急処置で対応可能
立ちくらみ、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗などが起こります。 - Ⅱ度：中等症。病院への搬送が必要
頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐などが起こります。倦怠感、虚脱感があります。 - Ⅲ度：重症。入院して集中治療の必要性あり
意識障害、けいれん、手足の運動障害などが起こります。発汗はなく、体温が上昇します。
まず、意識はありますか？
暑いことが必ずしも主な原因にはならないことがあると、先日の経験からは学びましたが、今、変調をきたしているのは、あなた自身ですか？ それとも、他の人でしょうか？ また、はっきりした意識がありますか？ 意識が混濁していたり、失神したりしている状況でしょうか？
意識が混濁している場合、それがあなた自身であったらどうにもなりませんが、あなたの目の前で、他の人がその状態に陥っている場合は、何をおいてもまず、救急車の出動を要請してください。119番。繰り返しますが、なるはやです。
意識がないということは、重症度からいえばⅢ度。重症の状態です。医療機関への緊急搬送が必要です。熱中症患者に対して、水分を摂らせたり、身体を冷やしたりといった応急処置が考えられますが、意識がない状態での水分の経口摂取は危険です。誤嚥の可能性があるので、これは医療従事者に任せるのが良いでしょう。身体を冷やすのは有効ですが、それより先に救急車の出動を要請してください。周りに二人以上の人がいれば、一人が119番通報、他の人が身体を冷やすといったことができるでしょう。
意識あり。倦怠感、虚脱感があって運動に支障あり。気分の不快
意識があっても歩行などの運動困難がある状態は、Ⅱ度。中等症の状態です。意識があるので、水分を摂らせるとともに、身体を冷やします。
意識あり。発汗、筋肉の硬直あり。貧血
意識があり、発汗、筋肉の硬直が見られるとともに、貧血・立ちくらみなどの症状がある場合は、Ⅰ度。軽症。経過観察は慎重に行う必要がありますが、現場での応急処置で対応が可能です。Ⅱ度の場合と同じく、水分を摂らせ、身体を冷やします。
意識がある場合とない場合で、処置の優先度が異なることには注意が必要です。意識がない場合は、救急車の出動要請を行うことが最優先です。処置ができる人があなた以外にいなかったとしたら、救急車の要請を先に行い、その後で身体を冷やすなどの処置を行いましょう。
体を冷やす
意識がない場合には救急車の出動要請が先ですが、その場合も、また意識がある場合も、できるだけ早く、身体を冷やすようにしてください。その場合、次のような方法があります。
涼しい場所に移動させる
意識がない場合はもちろん自力での移動は不可能です。運動機能障害がある場合、貧血などで歩行困難がある場合も、他の人の介助が必要になるでしょう。
強い直射日光が降り注ぐ、例えばグラウンドなどに放置してはいけません。風通しの良い日陰や、できればエアコンが効いている室内に移動させます。エアコンで室温が調節されていても、無風の状態は好ましくありません。扇風機やサーキュレーターなどの風が当たるようにし、体表面の温度が下がるようにします。
衣類を脱がせる
タイトな衣類はゆるめ、または脱がせて肌を露出させます。氷嚢、冷却シートなどで首やわきの下、太ももの付け根など、太い血管の走行している箇所を冷やします。重症度Ⅲ度の状態では発汗がなく、人体に備わっている体温を下げる機能がうまく働きません。肌に水をかけ、うちわや扇風機などで風を送って、気化熱の発散を促します。
水分と塩分の補給
スポーツ飲料や経口補水液などを摂取させます。これも繰り返しですが、意識障害を起こしている場合は誤嚥の危険があります。自力で水分を摂れない状況の時は、無理に飲ませないようにしてください。
まとめ
はじめに言った通り、室内、夜間、エアコン稼働中という環境にありながら、先日熱中症と思われる症状に見舞われました。回復後、よく思い出してみると、エアコンがオート運転になっていたことが原因の一つではないかと思い当たりました。私の住環境では、夜間の外気温は今の季節でも２０～２２度くらい。盛夏でも２５度を上回る熱帯夜になることはめったにありません。連日猛暑日の続く地域にお住まいの方には申し訳ありませんが、たとえば外気温２３度、室温２４度の時に、エアコンの設定温度を２５度にし、オート運転にしても、そりゃあ冷えないわけです。サーキュレーターもあるのに回していませんでした。熱中症に対する考えが甘いと言われれば、まったくその通りで、一言もありません。
熱中症は、放置していると生命に関わります。「なってしまった！」時には、正しい処置を行い、素早く回復できるようにしなければなりません。
夏はこれからが本番です。皆さんもお気をつけてお過ごしください。
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