7月になりました。そもそも立夏は5月初旬なので、季節はとうに夏を迎えており、8月初旬には早くも秋が立ってしまうわけですが、やはり「夏」といえば、7月~8月。子どもたちがたくさんの宿題と鉢植えの朝顔を持ち帰る終業式。海! 山! おじいちゃんおばあちゃん! ……と浮き立つ思いがするのは、すでに夏休みなど縁遠くなった大人ゆえのノスタルジーでしょうか。温暖化のせいか毎年のように酷暑にあぶられる7、8月。自分は大体昔から暑さが苦手で、日差しも弱まり、外気温も落ち着く宵から早朝以外は、エアコンの効いた室内に引きこもる人間ではあるのですが。
それでもこの時期、楽しみに、心待ちにしていることが一つ、私にはあります。
それがメロン。
全国的には、毎月6日が「メロンの日」なのだそうです。メロン産地の全国自治体が参加する、茨城県鉾田氏の「第2回メロンサミット」によって制定され、一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。「6日」の由来は、数字の「6」がメロンの形に似ているからだそうですが、どうでしょう。
それはともかく、私が現在住む青森県では、メロン・すいかの一大産地つがる市が、メロンの収穫が盛んになるこの時期に合わせ、7月6日を「つがる市メロンの日」と定めており、例年、市内の子どもたちには学校給食でメロンがふるまわれるのだそうです。いいなあ!
青森でメロン?
意外に感じる方もいらっしゃるでしょうか? 青森と言えばりんごでしょ?
たしかにそうです。農林水産省の統計によれば、りんごの収穫量は、全国の66万1900トンに対し、青森県が41万5700トン。堂々全国一位。62.8パーセントのシェアを誇っています。
果物県、フルーツ王国として一般にイメージされるのは、山形県、山梨県、和歌山県あたりでしょうか。
でも、先の統計によると、「全国の果物産出額ランキング」(2021年と、ちょっと古いのですが)で、順位は次のようになっています。
順位 | 都道府県 | 産出額 | 割合 |
---|---|---|---|
1 位 | 青森県 | 1,094 億円 | 11.94 % |
2 位 | 長野県 | 870 億円 | 9.5 % |
3 位 | 和歌山県 | 790 億円 | 8.63 % |
4 位 | 山梨県 | 789 億円 | 8.61 % |
5 位 | 山形県 | 694 億円 | 7.58 % |
6 位 | 愛媛県 | 553 億円 | 6.04 % |
7 位 | 熊本県 | 362 億円 | 3.95 % |
8 位 | 福島県 | 297 億円 | 3.24 % |
9 位 | 岡山県 | 284 億円 | 3.1 % |
10 位 | 静岡県 | 282 億円 | 3.08 % |
何と一位は青森県! もっと大きく宣伝しても良いのに、と思いますが、奥ゆかしいですね!
青森でまさかみかんは採れないよね? と私も思ったのですが、調べたら、ありました。
びっくりです。ただし、さすがにビニールハウス。
さて問題のメロンですが、収穫量は9650トン。全国五位のランクとなっています。
岩木山の裾野に広がるりんご畑の中を走る「アップルロード」は、県外でもご存じの方がいるかもしれません。りんごが色づく秋もすばらしい光景が広がりますが、5月。桜の開花を追いかけるように、りんごの木が白い花を咲かせます。これもオススメですよ! そしてつがる市の海岸線近くに、広大なスイカ畑、メロン畑が広がっているのですが、この畑の間を走る一本道が、通称「メロンロード」です。7月、8月には、何軒もの農産物直売所が店を広げます。
つがりあんメロン ~青森県のメロン~
メロンには、産地や品種によってさまざまな特徴があります。現在日本で流通している代表的なメロンの品種は約30種類ほどもあるそうです。その中で、青森オリジナルメロン生産連絡協議会が推奨しているのが「つがりあんメロン」です。
「つがりあんメロン」とは、「アムさん」「ホームビレンス」「アーバンデリシャス」「スウィートルビー」「ハニーゴールデン」「レノン」の6品種の総称で、「津軽で生まれ、津軽で育ったメロン」という意味です。アムさんはハウスでのみ栽培され、完熟状態で収穫されます。その他の5品種はハウス、トンネルで栽培され、温度管理・水管理などを徹底して行っています。また、つがりあんメロンは定植から収穫、出荷まで弘果弘前中央青果(株)の指導のもと栽培され、収穫は糖度検査を行い、全品種糖度15度以上(アムさんは16度以上)を目安に収穫しています。
アムさん
皮の色は黄色で、果肉部分は緑色。完熟で収穫するため食べられる部分が厚く食べ応えがあります。肉質は柔らかく皮際まで柔らかいため皮のすぐ上まで食べられます。また、果汁も多く良い香りがあり、甘くてジューシーなメロンです。
収穫:6月上旬~7月下旬
食べ頃:完熟状態で収穫するため、追熟の必要はなく、すぐに食べられます。日持ちはしないため、買ったらすぐその日のうちに召し上がれ。
ホームビレンス
皮の色は白色で果肉は緑色。果肉は厚く、果汁が多く滑らかな肉質で発酵性もほとんどありません。日持ちが良く、贅沢な甘さのメロンです。
収穫:7月上旬~8月上旬
食べ頃:追熟が必要です。おしりを押して柔らかくなった時が食べ頃です。
アーバンデリシャス
皮の色は濃緑色で果肉は厚く緑色。糖度が高く、肉質も安定していて日持ちも良い、洗練された甘さのメロンです。
収穫:7月上旬~8月下旬
食べ頃:追熟が必要です。おしりを押して柔らかくなった時が食べ頃です。
スウィートルビー
皮の色は灰緑色で、果肉はやや薄いオレンジ色。糖度が高く、日持ちの良い甘さたっぷりの赤肉メロンです。
収穫:7月上旬~8月下旬
食べ頃:追熟が必要です。他の品種に比べても日持ちが良いため追熟期間も長くなることがあります。おしりを押して柔らかくなった時が食べ頃です。
ハニーゴールデン
薄灰色で、果肉は厚く淡黄緑色。肉質は滑らかで、さわやかな甘さのメロンです。
収穫:8月中旬~9月下旬
食べ頃:追熟が必要です。おしりを押して柔らかくなった時が食べ頃です。
レノン
皮の色は灰緑で、皮際まで赤く鮮やかで果肉が厚く、肉質もなめらかで日持ちがよく、食べ応えのあるメロンです。
収穫:7月上旬~9月中旬
食べ頃:追熟が必要です。おしりを押して柔らかくなった時が食べ頃です。
オススメは「ゆうか」!
メロンとかすいかとか、やたら”高い”イメージがありませんか?
有名なメロンのブランドに、北海道の「夕張メロン」がありますが、お店にもよるのかもしれませんが、一玉5000円(!)とか、五玉セットで20000円(!)とかの値札を見ると、気軽に手は出せませんよね? そんなメロンは親しくしている方からの特別な到来品で、日頃はなかなか口に入りません。セットで五玉買ったとしても、誰とシェアすれば良いのでしょう? 確かにおいしいのですけれど!
青森県産ブランドの「つがりあんメロン」も、普通に買うとけっこう高価です。
昨日試しに「アムさん」メロンを買って食べてみましたが、一玉1500円(税別)でした。
「夕張」ほどではありませんが、懐に響きます。
1500円かあ……とためらってしまう方もいらっしゃると思います。
実は、「アムさん」を買ったのは今回が初めてです。
例年この時期に私が買うのは、「ゆうか」という品種のメロンです。「ユウカ」と書かれる場合もあります。漢字で「優香」とも。この「ゆうか」。「アムさん」と同じものです。正確に言うと、「ゆうか」をハウス栽培し、一定の基準を満たしたものにつけられたブランド商標が「アムさんメロン」ということになります。恥ずかしい話ですが、正直なところ最近まで知らなくて、ぜんぜん別種のメロンだと思っていたので、これまで買ったことがなかったのです。栽培から収穫まで厳密な管理の下で、生産者の愛情を注がれて生産・出荷されるのが「アムさん」ですが、今回初めて食べてみて、その味わいの性格は当然のことながら「ゆうか」と同じものだということがわかりました。
豊かな香りも。
なめらかな舌触りも。
あふれ出る果汁も。
すべて「ゆうか」が持っている特徴です。
そして、比較的安いのです。(ここが大事!)
私はふだん、道の駅で600円~800円くらいで買っています。普通のスーパーでも、1000円することはないでしょう。
ただ、ちょっと注意しなければならないことが。
「ゆうか」メロン購入時の注意
期間限定商品です
収穫期がとても短いのです。6月末から大体7月末まで。この時期を外すと手に入りません。以前8月初めに買おうとして、お店の人に聞いたら「もう終わりました」と言われてショックを受けたことがあります。
買ったその日が賞味期限です
「つがりあんメロン」の五品種は買ってから追熟が必要なのですが、「アムさん」「ゆうか」は完熟したものを収穫しています。買ったその日に食べるのがいちばんのオススメです。
おしりを押してはいけません(絶対!)
「つがりあんメロン」各種の熟し加減を確かめるのに「おしりを押して柔らかくなったら」とありましたが、「アムさん」「ゆうか」はダメです。桃などもそうですが、店頭に並んでいる果物を指で押している消費者の方を見かけることがあります。
大袈裟に言えば、殺意が芽生えます。
繰り返しますが、「アムさん」「ゆうか」は、生産者が完熟状態を見極めて収穫しているのです。手を触れたものは、決して棚に戻すことなく、お買い求めになってください。ご自宅でなら、お好きなだけ押していただいてかまいません。
まとめ
7月。青森県は確かに本州最北端の県ですが、夏は暑いです。この厚さの中、よく冷えたメロンをいただくのが、いつもの夏の楽しみ方です。7月6日は「つがる市メロンの日」。メロンロード付近には直売所が立ち並び、すいかやメロンを初め、なす、トマト、夕顔、冬瓜など、さまざまな農産物を買い求めることができます。お気に入りの「ゆうか」が店頭に並ぶのは7月いっぱい。今年も買いに出かけようと思います。
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