※この原稿は、2024年1月に作成されました。原稿中で用いられている「大学入学共通テスト」は、2024年1月に実施されたものです。これは前書き。今は3月です。本番の原稿は2024年の夏に公開される予定です。「夏を制する者が受験を制する」のです。
つまみ食いは好きですか?
つまみ食いで満腹になったことがありませんか?
苦手なものも、つまみ食いなら、
もしかしたら、おいしく食べられるかもしれませんよ?
受講に当たって必要なものは、鉛筆と消しゴム、それから「信じる心」だけ!
はじめに
このテキストは、「大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト・国語」(長い。)で、どうすれば無理や無駄なく効率的に(つまり、楽に)ある程度以上の得点を確保(キープ)できるのか、というテーマについて追究したものです。各大学独自の「個別学力試験」で全く役に立たないとは言いませんが、最大の効果までは期待できないでしょう。「個別学力試験」への対策をお求めの方は、ご自分で別のテキストをご用意ください。
●(2021年12月記之)2021年度より「大学入試センター試験」は「大学入学共通テスト」と名称が変更されました。国語で言えば記述式問題の導入が検討されるなど、大騒ぎになりましたが、結局のところ導入は見送られ、出題内容も旧「センター試験」とそう変わりないように思います。正直「そりゃそうでしょ」と思いましたが。このテキスト中に「大学入試センター試験」とあった場合は、そのまま「大学入学共通テスト」と読み換えてください。今後微調整は必要になるような気がしています。
●(2024年1月記之)2024年の「共通テスト」はすでに終わっています。実は今次までが、「高等学校学習指導要領・旧課程」による出題です。来年、2025年実施回からは、現役生はすべて「新課程」世代となり、いろいろな面で対応を変えていく必要が発生します。
例えば「国語」の出題範囲は、〈旧課程〉では次のようになっていました。
「国語総合」の内容を出題範囲とし、近代以降の文章、古典(古文、漢文)を出題する。
〈新課程〉用はこうなります。
「現代の国語」及び「言語文化」を出題範囲とし、近代以降の文章及び古典(古文、漢文)を出題する。
皆さんが在籍している高等学校のカリキュラムはどうなっているでしょうか。
実は私もこう見えて高校教師の端くれ(?)なのですが、勤務校で、今年卒業する三年生(最後の旧課程生です。)のカリキュラムでは、「国語総合」は、普通科一学年で4単位履修することになっていました。二年生からは新課程のカリキュラムに従って学習しているのですが、新設科目「現代の国語」「言語文化」は2+2単位を、同じく普通科一学年が履修するようになっています。
「科目の名前が変わっただけなのかな」と思った人。「まあそうかも」と言っても良いと思いますが、わかりきっているはずのことをここで確認しておきます。「国語総合」でも「現代の国語+言語文化」でも、これは必履修科目であり、文部科学省から公示される「学習指導要領」に記載されている標準単位に従って時数が配当されます。少なくとも「共通テスト・国語」に限っていえば、その出題範囲は、来年度からこの2科目になります。「論国・文国は?」と思った人がいると思います。勤務校では、二・三年生が「論理国語」「文学国語」を履修するようにカリキュラムが組まれています。単位数は「(2+2)×2」です。
結論から言うと、独立行政法人大学入試センターの発表に素直に従えば「論理国語」「文学国語」は出題科目にはなりません。必履修科目ではない「論国・文国」を履修しない高校生だって世の中にはいるでしょうし、その人たちにも大学を受験する権利が等しく与えられなければならないからです。だって「共通テスト」なのですから。
ただし皆さんが在籍している高校で「論国・文国」が履修科目となっていたとしても、皆さんはそれを「無駄じゃん」とは考えないでほしいと思います。もちろん私の本業に差し障りがあるからでもありますが、「個別学力試験」で出題科目になっているかもしれませんし、そもそも1年間、たった「2+2」の単位数で大学受験に堪える学力が身につくとは、私には到底思われないのです。合計4単位の基礎科目だけではきちんと身につけるに至らなかった国語に関する「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を補完するために、これらの科目が用意されているのだと考えてほしいのです。
その他にも、2024年までの「旧課程」用と来年度以降の「新課程」用とでは、いろいろな違いがあります。この後で触れることがあるかもしれませんが、「センター試験」や「共通テスト」の過去問題などを鵜呑みにしてわかった気になっていると、受験申込日や受験当日にびっくりすることになります。大学入試センターの発表には特に注意してください。
おことわり①
このテキストを作っている人物(私のことです。)は、実のところ「国語」の専門家ではありません。誤解のないように言っておくと、大学で国文学や国語学を修めてきた訳ではないということです。国語科教員の一種免許は所持しており、これまで幾つかの高校などで、国語の授業を担当してきた経験者であることにはまちがいありません。無資格者という訳ではありませんのでどうかご安心ください。ですが、元に戻って専門外であるために、自分で本当には理解していないのかもしれない事がらについて、さもわかっているかのような顔つきと口ぶりでお話しするには、どうしても何か気後れのようなものがつきまとって離れません。はっきり言えば後ろめたく、心苦しいのです。したがって、このテキストでは、これからアタックしようとしているいくつかの問題に対して、純粋に「国語」的側面からのアプローチを試みることはあまりありません。「国語」が好きな人、得意な人に、おそらくこのテキストは向いていません。そういう人は、私などではなく国語専門に学問を積み、研究を重ねてこられた先生方をお探しになることを勧めます。現にお持ちになっているだろう国語力にさらに磨きをかけ、正攻法で問題に立ち向かった方がよほど効果的でしょう。このテキストは、むしろ「国語」が嫌いな人、不得手な人、できれば「国語」の学習に手間暇をかけていられない人に「手間の省き方」「楽のしかた」を(こっそり)お教えすることを目的としています。
おことわり②
このテキストは、残念ながら、皆さんが「大学入学共通テスト・国語」で、確実に高得点を取れることを保証するものではありません。当然のことながら、試験問題は毎年違います。次の試験で何が出題されるのか、本当のところ出題者以外にはわかりません。世の中にはたくさんの参考書や問題集がありますが、それぞれその対策を「まちがいない!」などと断言するものがあったとしたら、まずは誇大広告を疑ってみるべきです。消費者生活センターに相談に行かれた方がよいでしょう。このテキストは、「こう考えれば、少なくとも、正答率は上がる(はず、だと思うけど……どうなんでしょう?)」という方法論を紹介するものであり、約束はいたしかねます。それでもいい、目の前に流れてきた頼りないわらくずをつかみたい、と思われる方だけ、この先へお進みください。
用意してほしいもの
- 「信じる心」。何よりも、これが大切です。
- 鉛筆(黒色。H・F・HBのいずれか)。
- プラスチック製字消し(いわゆる「消しゴム」のことです)。
世の中には「多色ボールペン」を用いて読解力を鍛えることを謳(うた)った書もありますし、蛍光マーカーや付箋など、いかにも受験生チックでカッコいいと思われるかもしれませんが、私は正直「自分自身に『オレ、頑張った』という暗示をかけられる」以上の効果は期待できないのではないかと思います。それはそれで大事なことだとも思いますが。実際「共通テスト」本番で、それらは机の上に置いてはいけないことになっています。
このテキストは、紙数と手数の関係で、説明のためにどうしても必要があった箇所以外、問題文を省いてあります。面倒でなければ、「共通テスト・国語」の過去問題をご用意ください。なくても何とかなるように制作したつもりですが、あった方が便利かもしれません。なお、このテキストは令和6年度版本試験に基づいて制作されています。
前置きが長くなってしまったことをお詫びします。続きが気になる方は、1講へ。お待ちしています。
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